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進学選択FAQ

駒場(教養学部)在籍中の学生の皆さんから、
よくお寄せいただく質問を、Q&A形式で表示しています。

  • 分野について

  • Q:精密工学とは、どのような研究・学問領域なのですか?

    精密工学の主たる分野は、「設計・生産システム」「精密加工・計測」「メカトロニクス」といった分野であり、これらはもともと、精密機器・情報機器・生産技術といった産業基盤テクノロジーと密接に結びついた発展してきた分野です。そのコアにある技術は、RT: Robot Technologies(ロボテク)PT: Production Technologies(プロテク)です。

    これらの技術が活用される場は時代とともに拡大を続けており、今日では超微細なナノの世界から、「人・環境」といった生きたシステム、さらには、「サービス・社会」といった目に見えないものまで、幅広い領域に広がっています。

  • Q:「RT(ロボテク)とPT(プロテク)で社会をデザイン」とはどういうことですか?

    精密工学は、その教育・研究理念を表すキャッチフレーズとして「RTとPTで社会をデザイン」を掲げています。RT(ロボテク, Robot Technologies)とは、皆さんがイメージするいわゆるロボットだけでなく、センサ技術、アクチュエータ技術、知的制御技術や、それらを活用した各種システムなど、機械を知的にコントロールする技術の総称です。一方、PT(プロテク, Production Technologies)とは、CADなどに代表されるコンピュータ援用設計、高精度形状創成、知的計測など、製造技術の高度化、デジタル化をめざす技術の総称です。これらは、いずれも精密工学が先頭に立って切り拓き、互いに深く結びつきながら発展してきた関連の深い技術分野です。

    精密工学科では、この二つの領域について、基礎から応用までをしっかりと身につける専門教育を行っています。

    RTとPTの技術を活用する場は、現在では、広く社会全体に広がっており、これからの社会を大きく変えうるポテンシャルを秘めています。例えば、RTの代表的な存在であるロボットは、もともと産業用ロボットとして工場の中で発展してきた技術ですが、現在では、ホームロボット、サービスロボットなど身の回りでの活用が期待され、私たちが普段生活する社会に浸透しはじめています。一方PTにおいても、例えば、その中核を成すコンピュータ援用設計の技術は、サービスの設計や社会シナリオの設計、などといった分野に活用が期待されています。 精密工学科の各研究室では、従来からのRT、PTに加え、これらの技術の社会への展開までを含めて研究を進めています。その様子を表すキャッチフレーズが「RTとPTで社会をデザイン」です。

  • Q:他学科との違いは何ですか?

    現在は、学融合、学際といったキーワードで表されるように様々な分野の境界線が曖昧になってきています。そのため、各学科の違いがわかりにくいという声も良く聞きます。

    精密工学科の一つの特徴は、学科のキャッチフレーズにあるようにRT(ロボテク)とPT(プロテク)を二本柱として教育を行っている点にあります。例えば、RTだけであれば、他の学科でも扱われていると思いますが、RTとPTという組み合わせに精密工学科の特徴があります。この二つは、互いに深く関連して発展してきた分野であり、この二つを統合して学ぶことは、自然な流れであると考えています。

    精密工学科のもう一つの特徴として、新しい考えを率先して取り入れ先端的分野を開拓するという開拓者的なスピリットに富んでいる点が上げられます。これまでの歴史を振り返ってみても、ロボットや医工連携といった現在話題の分野に最初に取り組んだのは精密工学科(正確には前身の精密機械工学科)でした。そして現在でも、例えばサービス工学のように、新しい分野への挑戦を積極的に続けています。そうした新しい挑戦を許容し応援する雰囲気にあふれている点も精密工学科の特徴です。

  • 進路・就職について

  • Q:学科卒業後の進路はどうなっていますか?

    工学部では、多くの学生が大学院に進学します。工学に限らず現代の科学技術は、長年の研究の蓄積により大変な奥深さを持っています。学部の2年間だけでは、それらの一部分しか学ぶことはできません。エンジニアあるいは研究者として活躍したいと考えるのであれば、是非とも大学院に進学してもらいたいと思います。

    本学科の教員は、工学系研究科 精密工学専攻か、新領域創成科学研究科 人間環境学専攻に所属しており、いずれかの大学院に進学することで、精密工学のより深い分野を学ぶことができます。大学院修了後の就職先は、精密機器メーカー、電気・情報機器メーカー、機械・自動車メーカーが中心ですが、これ以外にも鉄鋼・素材業界、通信業界、エネルギー業界への就職も盛んです。研究職につきたい方は、大学や公的研究機関に就職することとなるでしょう。

  • Q:卒業して社会に出ると同窓会のつながりが意外と大切だと聞きました。同窓会はありますか?

    精密工学科は戦前の造兵学科以来の長い伝統に支えられており、学科には「造兵精密同窓会」という同窓会が組織されています。精密工学科に在籍し卒業する学生の皆さんも、この造兵精密同窓会の一員として、温かく迎え入れられることになります。

    造兵精密同窓会に所属する諸先輩方は、産官学の様々な分野でトッププレイヤーとして活躍をされています。このような同窓会を有していることも、長い伝統に支えられた「精密工学科」の大きな財産であるといえるでしょう。

    同窓会の諸先輩方によるサポートの一つの例としては、精密工学科の学生への奨学金が挙げられます。社会で活躍された先輩方のご厚意により、精密工学科から選ばれた学生の方々に毎年奨学金が授与されています。

  • Q:具体的な就職先について教えて下さい。

    精密工学は日本が世界に誇る技術分野であり、日本の精密産業は世界でも有数の規模を誇っています。そうした精密産業への就職はもちろん卒業生にとっての選択肢の一つです。しかし、精密工学科で学ぶ知識は幅広い分野に活用できることから幅広い分野からの求人があり、就職実績を見ても多様な業界に就職していることがおわかりいただけると思います。

    実際には、学部卒業生は大半が大学院に進学した後に就職します。大学院修士課程の修了生は、日本および外資系のメーカー、情報サービス、コンサルタントなどの企業、官庁などに就職しています。大学院博士課程の修了生は、大学、公的研究機関、メーカーに多数就職しています。学部卒業後すぐに就職する学生は少数ですが、その就職先も個人の希望適性に応じ、各種の分野にわたっています。

    なお、就職に際しては企業、業種の情報を十分に集めて、適性を判断することが重要です。このため年2回、多くの卒業生と意見交換し、懇親する会が開かれています。これは精研会という精密工学科を支援する産業会の組織が中心になって行います。

    就職先の情報は、進路・就職先のページをご覧下さい。

  • 学生生活について

  • Q:本郷での勉強についていけるかどうか不安があります

    精密工学科の大きな特徴の一つは、少人数制である点です。精密工学科の人数は他の学科と比べても少ないことから、講義や演習においても、一人一人の学生に先生達の目が良く届きます。大人数での講義と違ってより細かなサポートができますので、勉強についていけるか、という不安は無用です。また、例えば演習などにおいて、できる人には特別な課題を与えるなど、各自の才能をより伸ばす指導ができるのも、少人数ならではの利点です。また、少人数であるために学生同士の結束も強く、互いに助けあう雰囲気が醸成されています。

  • Q:経済的な面で進学後の生活に不安があります

    精密工学科の学生に対しては、複数の奨学金制度が用意されています。詳しくはこちらの奨学金に関するページをご覧ください。

  • カリキュラム・学習内容について

  • Q:カリキュラムの特徴について教えてください

    本学科では、RT(ロボテク)とPT(プロテク)の2領域について、基礎から応用、さらには、社会への実装にいたるまでを学びます。その中身は具体的にはカリキュラムのページにあるように、

    • 機械物理・情報数理・計測制御の基礎工学
    • 設計情報・メカトロニクス・生産を主とする領域技術
    • 生体・人工物・社会などへの実装について学ぶ先端トピック

    として整理されています。いかなる学問を学ぶ上でも基礎を確実に身につけることが大事であると考えることから、本学科では基礎工学にカリキュラムの半分以上を費やしています。基礎科目を通じて、数学・物理・電気・機械などの工学分野の基礎学力を着実に身につけてもらい、その上で、精密工学の領域技術を学んでもらいたいと思います。また、精密工学においては、実際にモノに触れ、自らの手を動かして考えることも大変重要です。学生の皆さんがその機会を十分に得られるよう、プロジェクト演習にも力を入れています。

  • Q:プロジェクト演習とは何ですか?

    プロジェクト演習とは、少人数グループにより様々な研究(実験)テーマに取り組む演習であり、実体験を通じた教育を提供する仕組みです。一見、実験演習と似ていますが、通常の実験演習では、問題設定や解決手順が明示的に与えられるのに対し、プロジェクト演習では、それらは必ずしも明示的には与えられず、自ら問題や解決方法を考えながら演習を行う必要があります。工学分野における効果的な教育方法として、欧米の工学部では幅広く取り入れられています。

    本学科のプロジェクト演習では、3段階のプロジェクトを用意しています。まず、進学直後の2年Aセメスターでは、設計演習・基礎演習を行います。この段階では、学生の皆さんも自分で問題設定や問題解決を行うだけのトレーニングを受けていないことから、通常の実験演習に似た形で、ある程度、問題設定と解決手順を示した上で演習を行います。しかし、全てを与えるわけではありませんので、演習を実施していく上で、様々な疑問に遭遇することと思います。そこで感じた疑問を自ら調査することで、自身の勉強の動機付けにしてもらいたいと思います。

    3年Sセメスターの実践演習では、実際にものづくりの過程を体験します。自分でものを設計し、それを作るための加工と組み立てを行うことにより、座学で学んだ基礎知識と実際のものづくりが頭の中でつながります。

    3年Aセメスターのシミュレーション演習では、高度なものづくりに欠かせなくなってきているコンピュータシミュレーション技術を学びます。ものの強度を計算する構造解析をはじめとして、電気回路や機械制御などに関する様々なシミュレーションの原理を理解でき、ソフトの使い方も身に付きます。

    また、プロジェクト演習の他にも、英文輪講や工場見学、インターンシップなどの演習も用意しています。そして4年生では、プロジェクト演習で磨いた腕を、卒業研究で存分に発揮することになるでしょう。

  • 卒論研究について

  • Q:精密工学科の先生たちはどのような研究をしているのですか?

    本学科の各研究室では、RT(ロボテク)、PT(プロテク)の各分野において、様々な先端研究を実施しています。設計・生産プロセスを高度にデジタル化する「デジタルエンジニアリング」、マイクロマシニング・高密度実装技術などの「マイクロエンジニアリング」、光を操り極微の加工・計測を実現する「オプトエンジニアリング」、ロボットなどの知的制御に関する「知的システム技術」、新しいセンシングや駆動の仕組みを生み出す「センサ・アクチュエータ工学」などが研究対象の一例として挙げられます。さらに、RT、PTの技術を、人・環境・社会へと応用した「医用機器」「健康科学」「サービス工学」などの分野においても先導的な研究を実施しています。

    教員一覧のページで、先生の名前をクリックすると、各先生が実施している研究テーマについて、写真入りの詳しい説明を見ることができます。各先生の研究室のサイトにもリンクを張っており、より詳しい情報を入手することが可能です。

  • Q:ロボットに興味があります。精密工学科のロボット教育/研究への取り組みを教えてください

    精密工学科では、ロボットそのものだけでなく、その要素技術からシステムを含めたより広範な技術であるRT(ロボテク)について教育・研究を行っています。実際、精密工学科で取り組まれているロボット関連研究は多岐にわたっており、製造分野から医療福祉・バイオ・生活などのサービス分野にいたるまで、幅広い分野で実応用技術開発の取り組みが活発に行われています。そして、それらの研究開発に必要な知識を得るための様々な教育プログラムも学科教育の中で実施しています。

    また、精密工学科の多くの教員は、日本ロボット学会やIEEE(米国電気電子学会)Robotics & Automation Societyなど、国内外のロボット関連学会で役員等を務めており、学協会における企画・運営にも多大な貢献を果たしています。

  • Q:精密工学科のロボット関連研究としては、具体的にどのようなものがありますか?

    精密工学科で行われているロボット関連研究の例を以下に挙げます。詳細については、進学ガイダンス資料やムービー、各研究室のホームページなどを参照してください。

    1. 製造業におけるロボット技術
      製造業におけるロボット技術は、精密工学の歴史ある技術の1つです。現在、以下のような研究が行われています。
      • 非接触ハンドリング技術(山本研)
      • 自律分散型工場内搬送ロボット(太田研)
      • マイクロ加工ロボット(國枝研)
      • 精密計測ロボット(高増研)
    2. 医療福祉・バイオ・生活分野のロボット技術
      生体を扱う医療ロボット技術、高齢者や身体障害者を補助する福祉・介護ロボット技術、健康状態を診断・維持するためのロボット技術、美術館や商業施設などで人に様々なサービスを提供するサービスロボット技術の開発などが行われています。
      • 手術ロボット(佐久間研)
      • 健康・診断ロボティクス(小谷研、保坂研、佐々木研)
      • アシストロボット、サービスロボット(淺間研)
    3. ロボット工学基盤要素技術、ロボティック・インタフェース技術
      • 新原理アクチュエータ(山本研、森田研)
      • 触力覚インタフェース(山本研、佐々木研)
      • バイオチップ(藤井研)
    4. ロボティクス基礎研究(生体工学や神経生理学などとの融合、知の理解)
      • ニューロエンジニアリング(神保研)
      • 移動知(生物の適応的行動生成メカニズムの解明)(淺間研、太田研)
      • 生体モニタリング・モデリング(小谷研)
  • 学外・海外での活動について

  • Q:産業界とのつながりはありますか?

    精研会インターナショナルパーティ本学科では、産業界との連携を行う組織として精研会という会を組織しています。精研会には、精密機器メーカー、電気・情報機器メーカー、機械・自動車メーカーなど、精密工学と関わりの深い企業が約40社が名を連ねています。精研会では、学内外の研究・技術動向についての情報交換を行っている他、学生教育に対する様々な支援を行っています。本学科に所属する学生の皆さんも、精研会を通じて様々な経験を得ることができると思います。(写真右上:精研会主催のInternational Party:「精密」に所属する留学生を集めての交流会。この他にも、様々な形で支援を頂いています)

    また学科カリキュラムの中では、インターンシップ工場見学が用意されており、企業の活動を体験することができます。特に、3年夏休みに行われるインターンシップでは、企業の研究所や開発現場に出向いて、2週間ほどの実地研修を行うため、大学の講義だけではわからない様々なこと(企業での研究開発の進め方など)を学ぶことができるでしょう。

    そのほか、各研究室においては、様々な企業との共同研究が行われています。卒業研究で、それらの共同研究に関わることで、企業の人たちと一緒に研究を進めていく経験を得ることもできます。

  • Q:国際的な経験を積む機会はありますか?

    本学科では、4年生の初めから研究室に所属し、卒業研究を行います。研究室は大学院と共通であり、学部生も大学院生や研究員の人たちに交じって生活をすることになります。各研究室には、様々な国からの留学生や研究者が在籍しているため、皆さんが積極的に行動することで、様々な国の人と交流を深めることができます。また、研究室では海外の大学との共同研究が行われている場合も多くあり、卒業研究において、それらの研究に関わることも可能です。

    さらに、卒業研究で優れた成果を挙げれば、海外に出向いて国際会議で発表することができます。国際会議で発表するためには、準備に相当な時間がかかるため、4年生の間に国際会議発表することはスケジュール的に難しいですが、大学院に進学後、卒業研究の成果に基づいて国際発表を行えることでしょう。

  • Q:学会等で研究発表する機会は多いですか?

    本学科および精密工学専攻の学生達は、学会等で多くの研究成果を発表しています。本学科では、研究発表=プレゼンの技術を育成することにも力を入れており、プレゼンに関係する講義も複数用意しています。学会発表は、研究の成果を世に問う場であるだけでなく、日頃鍛えたプレゼン技術を実践する場でもあります。

    実際、学生達の発表は高く評価されており、毎年多くの表彰を国内外の機関から頂いています。

  • その他

  • Q:精密工学科のことをもっと良く知りたいのですが、学科の情報はどこで手に入りますか?

    進学ガイダンスパンフレット駒場で実施したガイダンスの資料なども見てください。資料ダウンロードのページにも、関連資料のPDF版をご用意しています。

    また、精密工学科の学生が多く進学する大学院のページ( 精密工学専攻、人間環境学専攻 )を見ていただくと、また少し違った側面が見えるかもしれません。

    それ以外には、本学科教員が実施する駒場生対象の授業(総合科目・展開科目・主題科目・初年次ゼミ・全学体験ゼミナール)、時折実施する学科オープンラボ個別進学相談会などを通じても学科情報を入手できます。授業やオープンラボ、個別進学相談会などについては、随時、本ホームページ(トップページ)に情報を掲載していきますので、興味のある方は時折チェックしてみてください。

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