2013年度 工学部精密工学科 卒業論文テーマ

注意事項

受入教員一覧


受入教員別テーマ一覧

淺間 一 教授 テーマ一覧(下記5テーマの中から選択)
テーマ 1.人共存環境下で動作するサービスロボットのための人の行動モデリング 2.情動に基づく自律神経系の活動に注目した不満足の生理学的測定と評価 3.ヒトの身体モデルに基づくリハビリ支援手法の開発 4.ヒューマンロボットインタラクションを考慮した移動ロボットの制御に関する研究 5.意志作用感に基づく能動的ヒューマンインタフェースの開発
狙い 人と共存する環境で,サービスロボットを適応的に動作させるには,人の行動を予測することが必要となる.そこで,その予測を行う際に必要となる,人の意図も含めた,行動のモデリングを行う.
環境情報を入手・管理するとともに,人の動きを計測・予測しながら,人との衝突の可能性を実時間で評価する必要があります.そのための技術開発を行います.
 サービス受容者の満足や不満足は,これまでアンケートなど,主観的な指標の評価しか行われてこなかった.一方,不満足は,情動的な機能に影響を及ぼすので,自律神経系の活動の変化として計測することができると考えられる.そこで,様々な生理指標を計測することで,不満足度を客観的に推測する手法を構築する.  高齢者は,身体的な衰えから,起立動作が困難になることが知られている.また,近年,膝関節症などの疾病も問題となっている.そこで,ヒトの下肢の筋骨格系のモデルを構築すると共に,それに基づくリハビリ支援手法を構築する.  人との共存環境下で,実時間で人の行動を計測しながら,その動きを予測しつつ,人と衝突しないような動作を生成し,実行できるような移動ロボットを構築する.また,その際に,ロボットと人間との間でいかなるインタラクションが行われるかのモデル化を行う.
 人が自分の意志で何かを能動的に動かそうとする際に感じる自分で動かしている感覚を意志作用感と呼ぶ.ロボットなどの人工物を遠隔操作する際,時間遅れが大きくなると,意志作用感が減少し,操作における認知機能や操作性が低下する.その特性を実験によって明らかにするとともに,その知見に基づいたヒューマンインタフェースの提案を行う.
内容 他の人も含む環境内で,人がどのような意図を持ちながら,2次元平面内を移動するかをモデル化し,シミュレータを構築する.また様々な状況で人がどのように移動するかを,レーザレンジセンサ等を用いて計測しながら,その評価を行う.  仮想環境を用いた情報提示・操作などを被験者に行わせながら,そのサービスに対し,発汗,筋電,眼球運動,心拍などがどのように変化するかを計測,分析することによって,不満足度を客観的・定量的に推定する手法を,認知実験などを通して行う.  医学部との共同研究により,ヒトの下肢の筋骨格系の精密なモデルを構築すると共に,コンピュータ上にシミュレータを構築する.身体的属性変化がどのような動作や負荷における問題を発生するかを分析しながら,それを予防,あるいはリハビリするために,いかなる手段が考えられるかを検討する.
 人の歩行モデルに基づく,ヒューマンロボットインタラクションシミュレータを開発する.それを用いて,人共存環境で動作するロボットの動作生成・制御手法を開発するとともに,実際の移動ロボット上に実装し,その有効性を検証する.  意志作用感の特性を,仮想環境を用いた認知実験によって明らかにする.その知見に基づき,インターネットや無線LANなど,通信系を介してロボットを遠隔操作する際の,使いやすいインタフェースを設計・構築し,その有効性を実験によって検証する.
場所(予定) 本郷工学部14号館821号室もしくは1022号室 本郷工学部14号館821号室もしくは1022号室 本郷工学部14号館821号室もしくは1022号室 本郷工学部14号館821号室もしくは1022号室 本郷工学部14号館821号室もしくは1022号室
計画 4〜5月:関連研究調査 4〜5月:関連研究調査 4〜5月:関連研究調査 4〜5月:関連研究調査 4〜5月:関連研究調査
6〜7月:モデル化手法の設計 6〜7月:生理状態計測システムの開発を用いた認知実験および解析 6〜7月:下肢の筋骨格系のモデル化手法の検討 6〜7月:人の動作モデルおよびシミュレータの構築 6〜7月:意志作用感の特性を明らかにするための認知実験,分析
9月〜11月:システムの構築 9月〜11月:不満度評価手法の開発 9月〜11月:筋骨格モデルの構築 9月〜11月:人共存環境におけるロボット動作生成手法の構築,ロボットへの実装 9月〜11月:ヒューマンインタフェース設計・構築
12月〜2月:実験および評価,論文作成 12月〜2月:評価,論文作成 12月〜2月:実験および評価,論文作成 12月〜2月:実験および評価,論文作成 12月〜2月:実験および評価,論文作成
WEB http://www.robot.t.u-tokyo.ac.jp/asamalab/
備考 研究室見学は山下研と合同で行います.研究テーマに興味を持たれた方,より詳細を知りたい方は,お気軽に山下までメールでご連絡下さい.
研究室見学連絡先:yamashita@robot.t.u-tokyo.ac.jp(山下メールアドレス)

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太田 順 教授 テーマ一覧
テーマ 1.群知能ロボット・マルチエージェントによる協調作業 2.人間行動の理解と支援
狙い 生物は互いに様々な形で協力しあいながら日々の仕事をこなしている.複雑な仕事を時には協調して対処し,時には互いの仕事を邪魔しないよう分担している.本研究室では,このような柔軟な協調のメカニズムをロボット等のエージェント群によって実現することを目指している.群知能ロボット,マルチエージェント群による協調作業実現法を提案し,シミュレーションまたは実機実装を目指す.(テーマ内容についてより詳細を知りたい人は太田までメール下さい.本郷で説明することも可能です.) 作業を行う人間のふるまいを外界センサにより計測し,その中から有意な情報を抽出することで行動認識を行い,当該作業を支援する方法論をさぐる.これまで本研究室では,看護師の行動理解と支援,ロボットの知的行動の生成等を行ってきたが,本年度は,適切なアプリケーションを想定した上での計測,認識,支援を行うシステム実装を目指す.(テーマ内容についてより詳細を知りたい人は太田までメール下さい.本郷で説明することも可能です.)
内容 当該テーマは,問題設定,アルゴリズムの概念設計,アルゴリズムの実装,シミュレーション,実機実験,評価,という構成により研究を進める.このテーマの実現により,人工知能技術,プログラミング技術,実機実装技術,問題解決手法の獲得を目指す.指導には教員1名,および学生1名があたる. 具体的な作業対象の選定,非浸襲計測装置の準備,計測アルゴリズムの構築,計測と評価,その結果に基づくアルゴリズムの改良,再実験,というプロセスを踏む.このテーマの実現により,センサ処理技術,プログラミング技術,問題解決手法の獲得を目指す.指導には教員1名および学生1名があたる.
場所(予定) 柏キャンパス総合研究棟5階535A号室(予定) 柏キャンパス総合研究棟5階534A号室(予定)
計画 4〜5月:問題設定およびプログラミング環境の理解,アルゴリズムの提案. 4〜5月:問題設定.システム構成.計測および認識手法に関する理解.
6〜7月:提案アルゴリズムの実装.計算機,実機による評価. 6〜7月:システムの実装と基礎実験.データ集計.
9〜12月:問題点の抽出と新たなアルゴリズム開発,実装. 9〜12月:プログラムの再実装.議論.
1〜2月:追加シミュレーション・実験,評価,とりまとめ. 1〜2月:システムの再構成.実験.まとめ.
WEB 関連している研究の動画とpdf 関連している研究の動画とpdf
http://www.race.u-tokyo.ac.jp/otalab/research/intro12/movie/individual/Sakuyama2012.wmv http://www.race.u-tokyo.ac.jp/otalab/research/intro12/movie/individual/nagata2012.wmv
http://www.race.u-tokyo.ac.jp/otalab/research/intro12/movie/individual/liu2012.wmv

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大竹 豊 准教授 テーマ一覧
テーマ 1.3Dスキャン形状とCAD形状を比較する研究 2.X線CT装置を使った形状スキャンを高度化する研究
狙い  最近、広く普及してきた3Dスキャニング技術は、もちろん産業応用でも活用されています。その中で、主な用途の一つは、実物の形状が設計通りにできているかを検査することです。具体的には、CADで設計した形状とスキャンで得られた形状を重ねて、それらの違いを評価することとなります。
 上記は、一見すると簡単にできそうなのですが、設計形状とスキャン形状は、座標系が異なるため、2つの位置を合わせる必要が生じます。大きさや形が異なるモデルを、自動で適切に位置合わせすることは難しく、地味ですが非常に重要な問題となっています。また、設計形状と実物の違いを正確に評価することができれは、金型の補正などにフィードバックをすることができ、ものづくり技術の高精度化に大きく貢献することができます。
 X線CT装置による形状スキャンは、光学式によるスキャンと比べて、外側から見ることができない形状も容易に得ることできます。複雑に入り組んだ形状をデジタル化したいときにいは、非常に有効な手段であり、今後広く普及していくと期待されています。
 現行の産業用X線CT技術のソフトウェア面においては、主に、医療用でこれまでに培われてきた技術を転用しています。しかしながら、医療応用とは違い、産業応用におけるスキャンの対象は、少ない種類の均質な材質により構成された物体を高精度に計測することを目的とします。そこで、本テーマでは、産業用CT装置に特化したソフトウェア技術の研究をし、形状スキャンを高度化することを目的とします。具体的な方向性としては、「基本形状の抽出」、「複数の回転軸データの合成」、「複数材質物体のためのCT再構成法」、「写真データとの組み合わせ」などを考えています。
内容  企業から提供された試作品とCADデータを使って、実用できるレベルのアルゴリズムとソフトウェア開発を目指します。スキャンデータの取得には、主に鈴木研の光学式測定機を用いる予定です。また、余裕がある場合には、実物と設計形状における差を補正するために、金型データの補正にも挑戦してもらうつもりです。
 研究を進める上で必要となるツール(幾何学、数値解析、プログラミング)は、少人数への講義+課題形式にて習得できます.なお、このプロジェクトは鈴木研究室と連携して行います.
 上に挙げた方向性のうちの一つに取り組み、アルゴリズムの研究開発を行います。データの取得には、鈴木研のマイクロフォーカスX線CTを使います。
 研究を進める上で必要となるツール(幾何学、数値解析、プログラミング)は、少人数への講義+課題形式にて習得できます.なお、このプロジェクトは鈴木研究室と連携して行います.
場所(予定) 駒場第2キャンパス先端研4号館3階303号室 及び 本郷キャンパス工学部14号館9階926号室 駒場第2キャンパス先端研4号館3階303号室 及び 本郷キャンパス工学部14号館9階926号室
計画 4〜5月:プログラミングと画像・形状処理の基礎の学習. 4〜5月:プログラミングと画像・形状処理の基礎の学習.
6〜7月:先行研究調査およびプロトタイプによる検証.初期プレゼンテーション. 6〜7月:先行研究調査およびプロトタイプによる検証.初期プレゼンテーション.
9月〜12月:アルゴリズムの開発・実験および評価.中間プレゼンテーション. 9月〜12月:アルゴリズムの開発・実験および評価.中間プレゼンテーション.
1月〜2月:実験.論文執筆.最終プレゼンテーション. 3月:希望により精密工学会で発表 1月〜2月:実験.論文執筆.最終プレゼンテーション. 3月:希望により精密工学会で発表
WEB 研究室のHP:http://www.den.rcast.u-tokyo.ac.jp/
卒論のHP:http://www.den.rcast.u-tokyo.ac.jp/~yu-ohtake/theses/b13.html

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国枝 正典 教授 テーマ一覧
テーマ 1.静電誘導給電法を用いた微細電解加工の研究 2.ワイヤ放電加工のシミュレーション
狙い  従来の微細放電加工の微細化限界を拡げるために、新しい原理に基づくパルス放電電源が本研究室で開発された。本方法は超短パルスの電流波形を発生できることで注目されている。そこで本研究は、静電誘導給電法の原理を電解加工に応用し、電解加工の加工精度を大きく向上させ、電解加工による超微細加工を可能にすることを目的とする。電解加工は放電加工に比べ、加工ダメージが少なくバリも生じない。また、静電誘導給電法は高速回転するスピンドルにも非接触で給電が可能である。そこで、高速スピンドルを用いた微細電解加工装置を製作し微細穴の高速電解加工を行う。  ワイヤ放電加工は1ミクロンの精度で複雑な形状を硬さに関わらず加工できる。しかし、ワイヤの振動やたわみが加工精度を低下させる。また、ワイヤ電極には細いもので20ミクロン径のワイヤがあるが、ワイヤのインピーダンスがワイヤ直径やワイヤ長、ワイヤ材質によって変化し、放電電流が変化する。また、ワイヤ内部やワイヤ周辺の電磁界が、ワイヤに作用する電磁力に影響し、ワイヤ振動にも影響を与える。さらに、放電による熱入力や、ワイヤ中のジュール発熱によってワイヤの断線が生じる場合がある。このように、ワイヤ放電加工を用いて高精度加工を行うには、振動解析、電磁界解析、流体解析、熱伝導解析などを駆使して、加工現象の正しいモデル化を行う必要がある。
内容  静電誘導給電法により数十ナノ秒の短パルスの電解電流が得られることは基礎研究によって実証されている。そこで、本年度は本方法の実用化を目指し、加工実験を行い加工特性を調べるとともに、パルス回路や加工装置の制御回路の改良を行う。また、5万rpmで回転するスピンドルに本装置を用いて給電を行い、微細な深穴加工を試みる。また、生産性を向上させるために、一つの電源を用いて複数の穴を同時に加工する装置を製作し、多数穴同時加工に特有な問題点を解決する。  研究室の先行研究によって、ワイヤ放電加工の基礎的なシミュレーションが開発されている。このシミュレーションの精度を向上させるためには、加工現象との比較を行って、モデルを改良していかねばならない。そこで、導電性を持ち、しかも透明な物質であるSiC単結晶材料を利用して、SiC単結晶を切断中のワイヤ放電加工現象を100万コマ/秒の撮影が可能な高速度ビデオカメラを用いて観察する。そして、観察されたワイヤ振動や放電点の位置をシミュレーション結果と比較し、モデルの改良を行う。最初は直線状の切断加工について観察を行い、次のステップとして直角のコーナを切断するときの現象を観察する。
場所(予定) 本郷キャンパス工学部14号館 本郷キャンパス工学部14号館
計画 4〜6月:加工実験、ならびにパルス回路と電極送り制御回路の製作 4〜5月:観察装置の製作と高速度ビデオ撮影
7〜9月:高速スピンドルを用いた加工実験と中間発表 6〜9月:ワイヤ挙動と放電点分布の観察と、シミュレーション結果との比較、中間発表
10月〜12月:複数穴同時加工の試み 10月〜12月:シミュレーション結果との比較に基づくシミュレーションモデルの改良
1月〜2月:補足実験、論文執筆と最終プレゼンテーション 1月〜2月:補足実験、論文執筆と最終プレゼンテーション
WEB http://www.edm.t.u-tokyo.ac.jp/

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小谷 潔 准教授 テーマ一覧
テーマ 1.小型超音波診断システムの測定精度向上と在宅診断支援 2.細胞間コミュニケーションによる集団リズムの数理
狙い 生活習慣病による動脈硬化は心筋梗塞や脳梗塞などの重篤な発作の原因となることが知られております.そのような発作を未然に防ぐためには”現場”である生活の中で簡便に投薬効果の評価や経過の観察を行う必要がありますが,そのような技術の成熟は遅れているのが現状です.本研究では,在宅で使用可能なサイズかつ知的な動作が可能な超音波自動診断装置を開発し,簡便に心臓や血管特性を計測・評価するシステムを構築します.内容に関しましては気軽に小谷まで(まずはメールなどで)ご連絡ください. 近年の生物に関する計測技術・解析技術の進歩に伴い,生物は私たちの想像をはるかに超える精巧さ,精密さで必要な機能を実現していることが明らかになりつつあります.一方で,その動作原理をひも解くには,数学・物理学における最新の知見が必要であり,また時として新たに理論を発展させる必要があります.本研究では数学者,理論物理学者,分子生物学者などとの共同研究を通し,遺伝子制御あるいは脳神経細胞集団の動作原理に迫ります.内容に関しましては気軽に小谷まで(まずはメールなどで)ご連絡ください
内容 在宅で簡便に使用できる超音波診断システムを開発します.特に,在宅での使用に必須となる自動での校正手法(出力値と計測機器・測定物の関係を決定して測定精度を向上させる手法)を提案します.校正後,診断システムの有効性をファントム(生体を模した試料)の計測およびヒトの血管の自動測定によって検証します. 我々ヒトを含めた生物は,細胞から個体に至るまで様々な階層でリズムを作り出し,利用しています.例えば昼夜のリズムを刻む体内時計は遺伝子制御によって維持されており,神経細胞は40Hz程度の集団リズム(ガンマ波)を用いて情報処理を行っていることが知られています.そのため,疾患などによってこれらのリズムが変調すると,個体としての機能の低下につながります.そこで本研究では,遺伝子発現によるたんぱく質生成機構もしくは神経細胞の活動電位について,個々の細胞と集団での振る舞いの関係を数理的に記述します.そして数理解析およびモデルシミュレーションを通して,個体における安定した機能をどのように個々の細胞や細胞間相互作用が支えているのかを理解し,さらに細胞間相互作用の変調と疾患の関係を読み解きます.
場所(予定) 柏キャンパス環境棟 柏キャンパス環境棟
計画 4〜5月:先行研究の理解,文献調査
6〜7月:プログラム技術,校正手法の習得
9月〜12月: 試作機改良および信号処理プログラム作成・評価実験
1月〜2月:評価実験,考察,まとめ.
4〜7月:数理システムの理解,シミュレーション手法の理解,先行研究の理解,文献調査
8〜12月:数理解析技術の習得,数理解析,議論
1月〜2月:評価,考察,まとめ.
WEB ホームページ:http://neuron.k.u-tokyo.ac.jp/?Research 本テーマに関する補足資料::http://neuron.k.u-tokyo.ac.jp/kotani/H25.pdf
ホームページ:http://neuron.k.u-tokyo.ac.jp/?Research

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小林 英津子 准教授 テーマ一覧
テーマ 1.低侵襲外科手術支援用多自由度鉗子デバイスの研究 2.肺がん手術用触診デバイスの研究
狙い 患者への侵襲を極力軽減するための低侵襲手術の一つとして内視鏡下手術が広く行われるようになってきました。しかしながら、本術法は体内の観察領域や術具の駆動自由度に制限があるため、医師の熟練を要し負担となっています。この問題に対し工学的に支援すべく、本研究室では内視鏡下手術支援ロボットシステムの研究開発を行ってきました。本プロジェクトにおいては、その中でも特に小型の多自由度鉗子及びその先端多機能デバイス開発を行っています. 肺がんにたいする外科治療では,肺の破裂を防ぐ目的で片肺換気とし治療を行います.その際,肺は縮み術前とは形状が大きく異なるため,術中に腫瘍部位の特定が必要となります.従来は術者は直接肺を触診することにより,位置の特定を行いますが,低侵襲手術では直接患部に触れることが出来ないため,「手」に変わる腫瘍位置同定デバイスが必要となります.本研究では,患者への低侵襲肺がん手術に対して,術中に腫瘍を特定するため,力センサを用いた触診デバイスの開発研究を行っています.
内容 内視鏡画像を元に多自由度屈曲鉗子を制御するための手法についての研究を行います.画像処理プログラミング,ロボット制御技術を学習しながら研究を進めます.ファントムや摘出臓器に対する評価を行い、提案手法の有用性を評価します。 本研究は,低侵襲で,腫瘍位置を同定するための,力センサを用いた触診デバイスの製作,装置の制御法の検討を行い,ファントム用い評価実験を行います.
場所(予定) 本郷キャンパス工学部14号館7階722号室 本郷キャンパス工学部14号館7階722号室
計画 4〜5月:関連する文献・先行研究の調査 4〜5月:関連する文献・先行研究の調査
6〜7月:鉗子位置姿勢計測法の検討 6〜7月:ハードウエアの設計及び製作
9月〜11月:実験装置製作,プログラミング 9月〜12月:ハードウエアの製作及び実験データの収集
12月〜2月:実験.評価.とりまとめ. 1月〜2月:評価、とりまとめ
WEB http://www.bmpe.t.u-tokyo.ac.jp/

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佐久間 一郎 教授 テーマ一覧
テーマ 1.低侵襲精密治療支援システムに関する研究 2.心臓不整脈の計測と制御に関する研究
狙い 内視鏡手術マニピュレータ(ロボット),位置決め装置を有する集束超音波治療システム,レーザ治療システムを,内視鏡画像,術中超音波画像,術中生理機能計測信号などの術中情報を処理することにより,高度な精密治療支援システムを構築すための,要素技術に関する研究を行う.研究は東京大学医学部附属病院,東京女子医大先端工学外科と共同で開発することを目指している.指導には教員1名と研究室助教1名があたる.大学院生や博士研究員数名と協力して研究を行う.  心臓突然死の原因の一つである旋回性の興奮伝播現象(spiral reentry)を蛍光色素と高速度カメラを用いて計測し,電気刺激制御をおこなうことでスパイラルリエントリダイナミクスを制御することを試みる。本研究は名古屋大学環境医学研究所との共同研究である.あるいは関連する技術を心臓外科分野に応用する研究を行う.大学院生と協力して研究を行う.
内容 治療に必要となる情報を計測する術中計測機器の試作あるいは術中に計測された画像情報処理による低侵襲手術機器の出力制御,位置決め制御に関するソフトウェア試作に関する研究を行う.いずれにせよソフトウェア・ハードウェア両者に取り組ませる.  ハードウェア・ソフトウェア試作を伴う、高速度カメラを用いた画像計測・処理システムの設計と製作を実施する.心臓外科分野への応用の場合は,電気生理計測にもとづく手術支援システムの開発が主となる.実験動物を用いた検討は共同研究先で実施する。
場所(予定) 本郷キャンパス工学部14号館722号室,727室 本郷キャンパス工学部14号館722号室,1134号室
計画 4〜5月:文献調査、実験装置の理解,臨床研究も含む基礎検討 4〜5月:文献調査、ハードウェア並びにプログラミング環境の理解,これまで試作されたシステムの理解.
6〜7月:基礎実験とそれに基づく設計 6〜7月:予備的な実験の実施
9月〜12月:手術用顕微鏡システムの製作,基礎的な性能評価 9月〜12月:装置の試作・制御ソフトウェアの
1月〜2月:総合実験.評価.とりまとめ. 1月〜2月:実験.評価.とりまとめ.
WEB http://www.bmpe.t.u-tokyo.ac.jp/research/research.html http://www.bmpe.t.u-tokyo.ac.jp/research/research.html
参考文献:1) Liao, H, Noguchi, M, Maruyama, T, Muragaki, Y, Kobayashi, E, Iseki, H, Sakuma, I: An Integrated Diagnosis and Therapeutic System using Intra-operative 5-Aminolevulinic-Acid-Induced Fluorescence Guided Robotic Laser Ablation for Precision Neurosurgery, Medical Image Analysis, 2010 in press 参考文献:1) 荒船龍彦,佐久間一郎ほか:高空間時間分解能の心筋通電刺激誘発Virtual Electrode現象光学マッピングシステム、生体医工学、41(4)、314-320,2003
2) 佐久間一郎: 低侵襲手術と精密工学の今後,精密工学会誌,74(11),1135,2008 2) Kim, H, de Lange, P, Ando, T, Joung, S, Taniguchi, K, Liao, H, kyo, S, Ono, M, Takamoto, S, Kobayashi, E, Sakuma, I: Image-based electrode array tracking for epicardial electrophysiological mapping in minimally invasive arrhythmia surgery, INTERNATIONAL JOURNAL OF COMPUTER ASSISTED RADIOLOGY AND SURGERY, 6(1), 83, 2011

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佐々木 健 教授 テーマ一覧
テーマ 1.腕時計型光電波センサの開発 2.振動を利用したタッチパッドの操作性の向上に関する研究
狙い 健康管理やフィットネスにおいて心拍数の情報は有用である.電気的に心電図を計測する方法では身体に電極を接触させなければならない.現在,歩行中に計測可能な心拍計測は,電極が付いているベルトを胸に装着する方式が一般的である.一方,光を使った光電脈波計測は指先や耳たぶなどの部位では実用化されているが,機器の装着感が日常生活には適していない.手首で光電脈波を計測することは試みられているが,体の動きによって信号が乱れ,実用的な計測ができていない.本研究では,手首における光電脈波計測の安定化のため,体の動きと信号の変化の関係を調べるとともに,動きの影響を受けにくいセンサの取り付け方法や,外乱の多い信号から脈波成分を抽出する信号処理手法を研究する. タッチパッドは今日の情報機器の重要なインタフェースの1つである.その機能に多様性を付与する手段として触感を提示することが試みられている.例えば,アイコンをタッチする際に振動を与え,あたかも機械的なスイッチ操作したかのような操作感を創出する方式が試作されている.触覚は重要な感覚であるが,視覚や聴覚に比べて物理的刺激と触感の関係は不明な事が多い.例えば画像ディスプレイやスピーカによってリアルな視覚・聴覚刺激は再現できるが,触覚はその手段が現状では存在しない. 本研究では振動と触感の関係を調べ,タッチパッドに振動を付加することによって視覚と触覚のマルチモーダルなインタフェースの手法を開発することを目的とする.
内容 LEDとフォトダイオードのペアで構成されるセンサヘッドをサスペンション構造で支持する機構を試作し,体の動きの影響を抑制することを試みる.計測に適した光の波長については従来の知見を再検討し,手首における光電脈波計測に適した波長を求める.また加速度センサ,ジャイロセンサにより運動を計測し,外乱抑制に利用する信号処理についても検討する. 板を振動させる装置と,振動板および指先の皮膚の運動を計測する高速度カメラで構成する実験装置を用いる.板の振動は信号処理用マイクロプロセッサ(DSP)を用いて任意の波形の振動を制御し,その振動板を指先でなぞる動作を行い,触感を評価する.皮膚の変位は高速度カメラの画像解析によって指紋の運動を抽出する.振動と触感の関係を分析することが研究の中心となる.
場所(予定) 柏キャンパス環境棟2F 柏キャンパス環境棟2F
計画 4〜5月:関連研究の文献調査および力学・制御工学の復習 4〜5月:関連研究の文献調査.昨年度の装置を用いた追試.
6〜7月:計測システムの構築 6〜7月:実験計画立案,装置の改良設計と製作.
9月〜11月:計測実験 9月〜11月:実験と解析.
12月〜1月:総合実験,研究のまとめ 11月〜1月:総合評価,研究のまとめ
WEB http://www.ems.k.u-tokyo.ac.jp/H22_sasaki

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神保 泰彦 教授 テーマ一覧
テーマ 1.分化誘導細胞による神経回路形成 2.迷走神経電気刺激療法の作用機構
狙い 様々な組織に分化する能力を持つ細胞を利用して治療を行う「再生医療」が注目を集めています.本研究では脳神経系の再生医療実現に向けて,分化誘導操作を施した細胞群を本来の生体由来組織の細胞群と人工環境下で結合させる試みを行います.両組織間で双方向の信号伝達が起こる条件を見出すことを目標に研究を進めます. 難治性てんかんに対する治療法として,迷走神経電気刺激療法が有効であることが経験的に知られていますが,その作用機構はわかっていません.本研究では迷走神経系が中枢に結合する経路をin vitro系に再構成し,電気刺激の効果を調べます.セロトニンとノルアドレナリンの作用の重畳に焦点を当てて実験と解析を進めます.
内容 *2つの細胞培養チャンバとマイクロ電極を集積化した基板を製作します.
*この基板上で神経系への分化誘導操作を施した幹細胞とネズミの脳から取り出したニューロン群を一緒に培養します.
*分化誘導細胞側で発生した活動がネズミの脳由来の細胞群に伝わるか,逆方向の信号伝搬は見られるかという観点から電気信号と細胞内Caイオン濃度変化の計測を行います.
*3つの細胞培養チャンバとマイクロ電極を集積化した基板を製作します.
*この基板上でネズミの脳幹から取り出したセロトニン,ノルアドレナリン作動性神経細胞と,大脳皮質神経細胞を一緒に培養します.
*脳幹神経細胞の自発的な活動,さらに電気刺激により誘発される活動に対する海馬神経細胞群の活動が変化する様子を観測し,迷走神経電気刺激療法の作用機構につき考察します.
場所(予定) 柏キャンパス環境棟3F335号室 柏キャンパス環境棟3F335号室
計画 4〜5月:マイクロ加工技術と細胞培養操作を習得します. 4〜5月:マイクロ加工技術と細胞培養操作を習得します.
6〜7月:神経回路活動の計測,データ解析手法を習得します. 6〜7月:脳幹神経細胞の自発活動について,電気・細胞内Caイオン濃度計測データを収集します.
8月〜12月:集積化電極基板上で共培養した細胞群の活動計測を行ないます. 8月〜12月:脳幹神経細胞を電気刺激し,大脳皮質神経細胞群の活動変化を観測・解析します.
1月〜2月:測定データをまとめ,プレゼンテーションの練習をします. 1月〜2月:測定データをまとめ,プレゼンテーションの練習をします.
WEB http://neuron.k.u-tokyo.ac.jp/

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須賀 唯知 教授 テーマ一覧
テーマ 1.常温接合のパワー半導体実装への適用 2.ナノ密着層接合の適用に関する研究
狙い  本研究室では、常温接合を中心に、半導体実装・集積化に関する基盤研究を行っています。常温接合は、材料表面をイオンビーム照射等により清浄化・活性化し、接触させるだけで接合を行う、という世界でも特異な独自の接合手法です。常温で接合ができることから、その応用が半導体実装やMEMSパッケージなどのさまざまな分野で検討されています。普通はくっつきそうもないものが、なぜか触るだけでついてしまうというのは、いつ見ても不思議であり、ちょっと感動モノです。本年度は、省エネや車載用として脚光を浴びているパワー半導体への適用を想定した常温接合の基礎研究を行います。 本研究室では、昨年度、常温接合の拡張として、ナノ密着層を介在させた新しい手法を提案し、世に送り出しました。本年度は、本手法のフィージビリティスタディのひとつとして、太陽電池や有機ELディスプレイなどの封止技術を想定したガラスや高分子フィルムの接合を試みます。封止接合はほとんどのデバイスの信頼性を決める重要な課題ですが、正面から取り組まれることの少ない分野です。そのためもあり、このテーマは社会や産業との接点を考える最適のテーマにもなっています。海外大学との共同研究も開始されており、前項のテーマとともに、海外(米国)でのインターンシップもあります。
内容  本年度の卒業論文では、炭化ケイ素や炭素材料などの新しい材料を対象に接合材料の違いがどのような影響を及ぼすのかを基礎に戻って検証します。特に、接合界面の強度および電気的特性におよぼす接合条件の影響を詳細に調べます。 ナノ密着層を適用したガラスおよび高分子フィルムの接合を行い、界面での接合現象を高分解能電子顕微鏡などの手法を用いて解析します。
場所(予定) 本郷キャンパス工学部14号館地階クリーンルーム 本郷キャンパス武田先端知ビル・スーパークリーンルーム
計画 4〜5月:常温接合の実験手法並びに理論の修得 4〜5月:ナノ密着層の実験手法並びに理論の修得
6〜7月:接合強度評価のシミュレーション 6〜7月:透過電子顕微鏡の試料作成および評価
9月〜12月:問題点の抽出と表面状態の解析・分析、再実験 12月:学会申し込み 9月〜12月:再実験、評価 12月:学会申し込み
1月〜2月:評価.とりまとめ. 3月:学会発表 1月〜2月:評価.とりまとめ. 3月:学会発表
WEB 関連研究の概要:http://www.su.t.u-tokyo.ac.jp

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鈴木 宏正 教授 テーマ一覧
テーマ 1.新素材部品開発のためのワイヤースタッフィングに関する研究 2.3Dプリンタによる動く実体モデル作成に関する研究
狙い 環境対応製品の開発は企業にとって最も重要な課題になっています。その中でも、複合材料などの新素材を用いて、軽量化・効率化を実現することがカギとなっています。新素材自体を開発することはもちろん重要ですが、それを部品として実現するためには、設計技術、加工技術、検査技術なども含めて開発することが必要であり、それらは従来部品と大きく異なる課題を持っています。本研究では、繊維で作られる部品の設計方法について研究します。特に、従来のような布状の素材ではなく、より複雑な3次元形状が創成できる、紐やテープ状の素材を巻きつけて形状を構成する方法に関する基礎的な研究を行います。 このテーマでは、3Dプリンタを用いて、「動く実体モデル」を造形する手法について研究します。一つずつ部品を造形して組み立てれば動くものができますが、大変手間がかかります。そこで、ここでは製品(アセンブリー)の外形のデータを入力して、それを自動的にパーツに分解し、さらに可動部(関節やしなやかに曲がるところなど)を加味して造形データを半自動的に作成し、3D プリンタで造形する手法を開発します。入力データとしては、CGのデータでもいいですし、あるいは、サーフェススキャナーによってスキャンしたデータでもOKです。
内容 本研究で狙っているものは、3次元織物とでもいうべきもので、繊維を3次元上に”織り上げて”、部品形状を作ろうとするものです。その一つの方法に、紐あるいはテープ状の繊維束を巻きつけていくFilament Winding という方法があり、FRPなどでは実用化されています。しかし、現状では円柱や円錐などのような単純形状に限定されているので、本研究ではそれをより一般化し、紐やテープ状のものを巻きつけて、自由に3次元形状を作るためワイヤースタッフィングという手法について研究したいと思っています。
この課題は全くの新規のものですので、まずは3次元モデリングに関して勉強を進めつつ、課題を整理し、設定します。そして解決策の考案と計算機実験を行います。また、研究の過程で、曲線・曲面理論や離散幾何学の知識とC++プログラミングスキルが身に付きます。なお、このプロジェクトは大竹研究室と連携して行います。
問題点を整理すると、次のような3次元データ処理について研究することになります。
○実体(可動部のある製品など)の表面の3次元形状と模様(テクスチャ)の情報が与えられた時に、それを手掛かりにして可動部分を認識する。
○可動部分を切り分けて、その動きを実現するように、「裏側」の形を推定・生成する。
○3D プリンターで造形する。
本研究では、このような計算を行うための3次元データ処理のアルゴリズムを開発します。特に、本研究室で開発した3次元画像データ処理手法を活用する予定です。その基礎は,画像処理分野や計算幾何学などの分野であり,それらに関して勉強を進めつつ、解決策の考案と計算機実験を行います。また、研究の過程で、画像処理や離散幾何学の知識とC++プログラミングスキルが身に付きます。なお、このプロジェクトは大竹研究室と連携して行います。
場所(予定) 駒場第2キャンパス 先端研4号館3階303号室.なお本郷14号館9階にも研究室があります. 駒場第2キャンパス 先端研4号館3階303号室.なお本郷14号館9階にも研究室があります.
計画 4〜5月:形状モデリングとプログラミングの学習 4〜5月:3次元画像処理とプログラミングの学習
6〜7月:先行研究調査およびプロトタイプによる検証.初期プレゼンテーション。 6〜7月:先行研究調査およびプロトタイプによる検証.初期プレゼンテーション。
9月〜12月:アルゴリズムの開発・実験および評価.中間プレゼンテーション。 9月〜12月:アルゴリズムの開発・実験および評価.中間プレゼンテーション。
1月〜2月:実データによる実験.論文執筆.最終プレゼンテーション。 1月〜2月:実データによる実験.論文執筆.最終プレゼンテーション。
WEB http://www.den.rcast.u-tokyo.ac.jp/
http://www.den.rcast.u-tokyo.ac.jp/~suzuki/research/bthesis/btheses2013.pdf

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高橋 哲 准教授 テーマ一覧
テーマ 1.局在光エネルギー制御による超精密計測技術の開発 2.エバネッセント局在エネルギーによるマイクロマシニングに関する研究
狙い 光は,リモートセンシング性,非破壊性等の計測媒体として優れた特性を有していますが,光源波長に依存する回折限界のため,ナノメートルオーダで計測対象の情報を取得することは困難です.本研究では,従来の自由空間伝搬光に留まらず,近接場光,エバネッセント光,局在プラズモン共鳴といった回折限界に支配されない局在光エネルギーを積極的に適用した新しい光学的超精密計測技術の開発を目指します. マイクロ光造型法は,光エネルギーの柔軟な制御性を利用した三次元マイクロ構造創製技術として,注目を集めています.本研究では,一般的な光(自由空間伝搬光)とは異なった特殊な局在性を有するエバネッセント光を利用した新しいマイクロ光造型法の開発を行います.露光エネルギーとして,エバネッセント光を適用することで,従来法では不可能だった100nm形状分解能でのマイクロ三次元構造創製技術の確立を目指します..
内容 次世代の半導体プロセスへ導入が期待されているナノインプリントプロセスの超微細膜厚計測法の確立を目指します.具体的には,ナノメートルスケールの曲率半径を有する微細な金属プローブ先端において局在プラズモン共鳴を生成し,その局在光エネルギー分布を用いて対象膜厚の計測を行います.計算機シミュレータと基礎実験の両面から,膜厚測定法の確立を目指します. 光硬化性樹脂硬化に影響を及ぼす溶存酸素も考慮したFDTDシミュレータの開発を進め,局在化された露光エネルギーと硬化形状の関係を理論的に解析します.FDTDシミュレーターによる理論解析をベースに基礎実験を行い,新しい知見の創出を進め,新規機能性マイクロ構造創製の可能性について検討します.
場所(予定) 本郷キャンパス工学部14号館11F 1122号室 本郷キャンパス工学部14号館地下1F 005恒温室
計画 4〜7月:基礎光学ゼミ・先端光学ゼミによる,研究遂行上必要な基礎光学知識・関連最新光学知識の習得 4〜7月:基礎光学ゼミ・先端光学ゼミによる,研究遂行上必要な基礎光学知識・関連最新光学知識の習得
7〜8月:FDTD電磁場解析シミュレータによる基礎的解析 7〜8月:FDTD電磁場解析シミュレータによる基礎的解析
9月〜12月:実験装置の設計,構築 9月〜12月:実験装置の改良設計・構築
1月〜2月:実験,評価.とりまとめ. 1月〜2月:実験,評価.とりまとめ.
WEB 関連研究の概要:http://www.nanolab.t.u-tokyo.ac.jp/research.html

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高増 潔 教授 テーマ一覧
テーマ 1.大型非球面形状の測定方法の研究 2.高精度三次元測定機の校正方法の研究
狙い  天体望遠鏡,半導体製造装置などに利用される,大型非球面ミラーおよびレンズの形状を,高精度(ナノメートル)で測定する新しい手法の開発を行います.この手法により,高精度なミラーおよびレンズの開発を支援し,半導体製造装置や天体望遠鏡などの性能が大きく向上することを目指します.  ナノメートルの精度を持つ三次元測定機(Coordinate Measuring Machine)の開発を行っています.高精度で自由度の高い測定機を開発するためには,測定機の精度を評価し,誤差を補正および校正する方法の開発が必要です.この研究では,高精度三次元測定機のテーブルおよびセンシングシステムの誤差評価および校正を行います.
内容  まず,新しい手法の理論的な提案およびシミュレーションによる誤差評価を行います.つぎに,ナノメートル精度の光計測手法と高精度三次元テーブルを利用した実験装置の改良および予備実験を行います.最終的に,大型非球面形状を測定するための装置の基本的な設計仕様を決定するための,基礎的な検討を行います.  まず,高精度三次元測定機のシステムの理解を行い,精度評価の予備実験を行います.つぎに,新しいレーザ測定機を用いたナノメートル精度の光計測手法により,三次元測定機の誤差評価を行う理論およびシステムの開発を行います.最終的に,三次元測定機の新しい校正方法の確立を目指します.
場所(予定) 本郷キャンパス工学部14号館9F933号室(予定) 本郷キャンパス工学部14号館9F933号室(予定)
計画 4〜5月:理論的な測定方法およびシミュレーションプログラムの開発 4〜5月:測定システムの理解,予備実験
6〜7月:測定システムの改良,予備実験 6〜7月:誤差評価理論およびシステムの開発
9月〜12月:測定実験と誤差評価 9月〜12月:測定実験と誤差評価
1月〜2月:実験.評価.とりまとめ. 1月〜2月:実験.評価.とりまとめ.
WEB 研究室ホームページ: http://www.nanolab.t.u-tokyo.ac.jp/

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鳥居 徹 教授 テーマ一覧
テーマ 1.マイクロカプセルに関する研究 2.マイクロフルイディクスLab on a Chipデバイスの研究
狙い 本研究室では,微小流路における液滴生成技術を早くから研究を始めており,特許は日本,米国,ヨーロッパ,カナダ等ですでに権利化されています.当該技術の応用先として,デジタルサイネージ(電子看板)や電子書籍における電子ペーパーがあり,これらは電気消費量が少ないため低炭素社会を実現するためのグリーンデバイスとして注目をあびています.本研究では,ツイストボール型(半球が正に帯電,半球が負に帯電,かつ色が逆(白と黒など)の微粒子)の電子表示デバイスの開発を行っており,電子ペーパーと呼ばれる表示装置に応用されています.さらに,カプセル化技術の応用として,電子ペーパーの他に機能性食品の開発を進めています. 化学とくに生化学反応を行う微小なデバイスをLab on a ChipとかマイクロTASとよびます.本研究室では,早くからこの分野の研究に取り組み数々の成果を出してきました.現在は,空中浮遊菌の検出を目的とした遺伝子増幅装置の組み込みや微小流路の流体制御などのデバイス化を行なっています.デバイス全体では様々な要素技術の開発が必要なため,本年もLab on a Chipデバイスの研究を進めます.
内容 表示性能評価は、微粒子の持つ帯電量の評価をはじめとして解決する必要な項目が多くあります.これをひとつひとつ解決して実用化に結びつけることをねらいとしています.研究指導には教員1名+大学院生1名があたります. デジタルフルイディクスとは、流体を液滴化して搬送、合体、分離を行う方式のことを指します.本研究では、とくにオンデマンドで決まった量を分注する装置の研究を重点的に行っていく予定です.これは、微少流路における液滴生成を応用する装置になる予定です.研究指導には教員1名+大学院生1名があたります.
場所(予定) 柏キャンパス環境棟3F354号室 柏キャンパス環境棟3F354号室
計画 4〜5月:これまで行われてきた微小液滴生成に関連する研究の調査、理解  4〜5月:これまで行われてきたLab on a Chipデバイスに関連する研究の調査、理解 
5〜7月:微小流路による予備実験  5〜7月:デバイス作製の実習、予備実験. 
9月〜10月:予備実験をふまえた装置作成ならびに中間発表に向けてデータ取得、とりまとめ  9月〜10月:予備実験をふまえた装置作成ならびに中間発表に向けてデータ取得、とりまとめ 
10月〜12月:装置の改善、データ取得、評価  10月〜12月:装置の改善、データ取得、評価 
1月〜2月:最終的なとりまとめ  1月〜2月:最終的なとりまとめ 
WEB 電子ペ―パー表示剤としての2色微粒子の生成
http://www.dt.k.u-tokyo.ac.jp/research/e_paper.shtml
Lab on a Chipに関する研究
http://www.dt.k.u-tokyo.ac.jp/research/lab_chip.shtml
マイクロチャンネルの分岐構造を利用した液滴生成
http://www.dt.k.u-tokyo.ac.jp/research/droplet_formation.shtml

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原 辰徳 講師 テーマ一覧
テーマ 1.製品利用と顧客行動データを元にした製品サービスシステムの設計支援に関する研究 2.顧客参加度合いが高い設計生産方式を持つ観光サービスの構成支援に関する研究
狙い  これからのものづくりでは、製品にサービスを載せて提供することが求められます。特に近年では、センサ技術と情報技術の発達により、製品の稼働状況と利用履歴、および顧客(製品使用者)の行動データの大規模な収集が可能となりました。建設機械、複合機、空調設備の遠隔保守サービスなどは、こうしたデータを活かした典型的な現場サービスです。本テーマでは、それらを更に発展させ、顧客モデルの再構築と、製品サービスシステムの再設計にまでつなげるための基礎的研究を行います。  これまで一般の人々は消費者(コンシューマ)と呼ばれてきましたが、情報技術の発達により双方向コミュニケーションが容易となったことで、多様な価値を生み出す共同生産者(プロシューマ)としての新たな役割を期待されるようになりました。例えば観光サービスでは、旅行者の行動がその生産活動の中核を担うとともに、例えば個人旅行者は自身で観光プランの設計をも行います。本テーマでは、このように顧客参加度合いが高い設計生産方式を持つ観光サービスに対し、パッケージツアーの構成とそのカスタマイズ方法の基礎的研究を行います。
内容  製造業製品を介したサービスを主な題材とし、問題設定、文献調査、事例分析とモデル化、解析アルゴリズムの実装、評価という構成により研究を進めます。このテーマの実現により、工業製品のモジュラー設計/系列設計/プラットフォーム設計の方法、サービスに関する工学的知識、プログラミング技術、および問題解決思考の習得を目指します。
 指導には教員1名があたります。新しいことに挑戦したい人をお待ちしています。
 観光サービスを題材とし、問題設定、文献調査、既存データの解析、解析アルゴリズムの実装、評価という構成により研究を進めます。このテーマの実現により、工業製品の系列設計の方法、サービスに関する工学的知識、プログラミング技術、および問題解決思考の習得を目指します。
 指導には教員1名があたり、東京大学 工学系研究科 青山研究室、株式会社ジェイティービーとの共同研究を含みます。新しいことに挑戦したい人をお待ちしています。
場所(予定) 柏キャンパス総合研究棟5階 柏キャンパス総合研究棟5階
計画 4月〜5月: 問題設定、工業製品の設計方法の習得、サービスに関する一般知識の習得 4月〜5月: 問題設定、工業製品の設計方法の習得、サービスに関する一般知識の習得
6月〜7月: 製品サービスシステム(PSS)の事例分析、およびモデル化 6月〜7月: 観光サービスにおける個人旅行者の設計・行動データの解析
9月〜12月: 製品サービスシステムの構造解析アルゴリズムの提案、ソフトウェアの実装 9月〜12月: パッケージツアーとそのカスタマイゼーションに関する解析アルゴリズムの提案、ソフトウェアの実装
12月〜2月: 評価ととりまとめ 12月〜2月: 評価ととりまとめ
WEB http://www.race.u-tokyo.ac.jp/~hara_tatsu/

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樋口 俊郎 教授 テーマ一覧
テーマ 1.電磁気現象を利用したマイクロマニピュレーション 2.超磁歪材料や形状記憶合金を利用したマイクロアクチュエータの開発
狙い  樋口研究室では,メカトロニクスに関する基礎から応用にわたる広範な研究を行っています.各種アクチュエータ・センサの開発や,超精密加工技術など,メカトロニクス要素技術に関する研究を行うとともに,それらを応用したバイオメカトロニクスシステムの開発等の研究課題に取り組んでいます.本研究室の卒論研究では,研究者や技術者として活躍するために必要な基礎的な知識と研究・開発を推進できる総合的な能力を習得し高めることを目的として実施します.  樋口研究室では,メカトロニクスに関する基礎から応用にわたる広範な研究を行っています.特にアクチュエータに関しては,新原理アクチュエータ研究の世界の拠点のひとつとなっています.新しく開発された機能材料の性質を活用し,精密機器や情報機器に実際に使われるアクチュエータの開発をめざすプロジェクトに参画し,高度な研究開発を体験できます.研究者や技術者として活躍するために必要な基礎的な知識と研究・開発を推進できる総合的な能力を習得し高めることを目的として実施します.
内容  電界,磁界,振動,レーザなどを利用して,粉体,微小液滴,細胞,DNA等の搬送,位置決め,分離,選別等の革新的なマニピュレーション技術を開発する.本年度は,電界を利用することにより真空微小空間で粉体の高速往復動を電極間に得ることにより,熱伝導率を大きく変化できる素子を開発する. この他に,燃料電池で要求されているマイクロポンプの開発に取り組むこともできる.  超磁歪材料は磁界を加えると大きな歪を発生する材料であり,硬くて脆いものとされていたが,最近,切削加工が可能な画期的な超磁歪材料が開発された.当研究室が有する超精密機械加工技術を活用することにより,3次元形状精密マイクロ部品を作成し,超磁歪材料を利用した革新的なマイクロアクチュエータを開発する.また,形状記憶合金の細線に瞬間電流を流すことによって得られる急速変形や衝撃力を利用した携帯電話用マイクロ振動デバイスを開発する.
場所(予定) 本郷キャンパス工学部14号館6F630号室 本郷キャンパス工学部14号館6F630号室
計画 4〜6月:関連研究の調査,既存実験装置と測定器の操作法の習得 4〜6月:関連研究の調査,測定器の操作法の習得,超精密加工機の利用技術の習得
7〜9月:予備実験,新しいデバイスの構想と設計 7〜9月:既存実験装置による予備実験,新しいマイクロアクチュエータの構想と設計・試作
9月〜11月:実験とデバイスの改良 9月〜11月:試作したアクチュエータの性能評価と改良
12月〜2月:実験,評価,総括,卒論発表,学会発表準備 12月〜2月:実験,評価,総括,卒論発表,学会発表準備,特許出願
WEB http://www.aml.t.u-tokyo.ac.jp

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日暮 栄治 准教授 テーマ一覧
テーマ 1.低温接合技術による超小型光マイクロエンコーダの開発 2.ウェハボンディングによる光デバイスの高放熱構造に関する研究
狙い 当研究室では,半導体レーザを内蔵した超小型光マイクロセンサに関する研究を行っている.通常,光計測装置は,レンズやミラーなどバルクの個別光学部品をアセンブリして作られた大型で高価なものであった.そのため,これまで小型メカトロニクス・ロボティクス分野への適用も限られてきた.本研究では,光素子の低温接合技術を活用して,偏光板を用いたロータリーエンコーダなどの集積型光マイクロシステム創成へ適用することに挑戦する.  近年,高出力レーザがさまざまな分野で利用され,発生する熱をいかに効率よく半導体素子から放熱させ,素子の温度上昇を防止するかが極めて重要となっている.本研究では,半導体素子(発光領域)と高熱伝導基板が近接した高放熱構造光デバイスを実現するために,直接遷移型III-V族化合物半導体と大きな熱伝導率を有するIV-IV族化合物半導体の炭化ケイ素(SiC)を直接接合技術により張り合わせた高放熱構造を提案し,実証する.
内容 大気圧プラズマ等を用いて,半導体レーザやフォトダイオードなどの光素子を,大気雰囲気で低温接合する.残留応力のシュミレーション,接合界面・接合強度の評価,光素子の特性評価等から,光素子に適用可能な低温接合技術を確立する.また,本手法を用いて,新しい3次元光マイクロシステムを創成することを試みる.偏光板を用いたロータリーエンコーダは、構造が簡単、機械的変動に対するトレランスが大きいなど優れた特性を有する.ナノ構造を持つワイヤーグリッド偏光板に着目し、これらの光素子を集積した超小型マイクロエンコーダの開発に挑戦する. 従来のはんだを用いた接合やフュージョンボンディング と呼ばれる接合方法では,熱伝導率が低い、アニール処理による熱応力の発生という課題があった.本研究では,プラズマを利用した化合物半導体などのウェハボンディングを行い,接合界面の機械的・熱的特性を明らかにする.有限要素法による熱解析,応力解析から,熱抵抗や熱応力が構造や接合温度でどのように変化するのかを明らかにする.開発した技術をVECSEL(Vertical External Cavity Surface Emitting Laser)、OPSL(Optically Pumped Semiconductor Laser) 、またはSDL(Semiconductor Disk Laser)と呼ばれる次世代レーザへ適用することに挑戦する.
場所(予定) 駒場先端研4号館および本郷工学部14号館(須賀研究室) 駒場先端研4号館および本郷工学部14号館(須賀研究室)
計画 4〜5月:関連研究の文献調査と光実装の基礎に関する勉強会,実験装置の使用訓練 4〜5月:関連研究の文献調査と光実装の基礎に関する勉強会,実験装置の使用訓練
6〜9月:接合実験と評価.シミュレーション. 6〜9月:接合実験と評価.シミュレーション.
10〜12月:デバイス評価,コンセプト検証,学会投稿準備. 10〜12月:デバイス評価,コンセプト検証,学会投稿準備.
1〜2月:研究のまとめ,論文執筆,卒論発表練習.3月:学会発表. 1〜2月:研究のまとめ,論文執筆,卒論発表練習.3月:学会発表.
WEB http://www.su.t.u-tokyo.ac.jp/ja/index.html http://www.su.t.u-tokyo.ac.jp/ja/index.html
http://www.rcast.u-tokyo.ac.jp/ja/research/meeting/2005/index.html#051005-01

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保坂 寛 教授 テーマ一覧
テーマ 1.超低消費電力移動体センシングの研究 2.ジャイロ型発電機の研究
狙い スマートグリッドに代表される次世代エネルギーマネジメントでは,人,車両,産業機器などの稼働状態を推定し,必要電力を推定することが必要です.本研究では,人や車両の音,振動,周囲電波から稼働状態を判定し,それに合わせて位置センサなどを起動する超低消費電力移動体センサーを開発します. 人の歩行,旗のはためき,樹木の振動など,人間・人工物・自然物の運動を上手に用いると,環境中で無駄に放出されているエネルギを電力として回収出来ます.本研究ではこのような環境エネルギを用いる発電機を開発し,モバイル機器やセンサーネットワークに応用します.
内容 人や物流機器の稼働状態は振動などで検出出来ます.しかし個人ごと,機器ごとに振動特性が異なるため,どの振動がどの状態に対応するかは個別に決めねばなりません.本研究では,物流機器などの音,振動,周囲電界を長時間計測し,そのパターンから確率的に最も確かな稼働状態を自動推定し,移動時のみ位置センサを起動するシステムを製作します.振動計測とメカトロを基礎から学び,プログラムを作成し,マイコンに実装します. 振動は環境中のいたるところに存在しますが,一般に振幅が微小なため,実用的な電力を得るには,運動の拡大が必要です.ブランコ,縄跳び,魚のヒレの動きは同期振動または自励振動と呼ばれ,わずかな動きから高速な運動を生成する例です.同期振動にジャイロ効果を組み合わせ,人の日常の動きから数千rpmの高速回転を生成し,携帯電話に充電できる発電機を開発します.運動力学を基礎から最先端まで学び,それをもとに電気・機械系の最適制御を行います.
場所(予定) 柏キャンパス 柏キャンパス
計画 4-5月.振動,確率,統計の学習. 4月〜6月 機械力学および運動制御に関する専門書の学習.シミュレーション手法の習得
6-8月.マイコンによる計測制御回路の制作 7月〜10月 自励振動,同期振動のシミュレーション.マイコン,電子回路,機械工作法などの習得
9-12月.稼働状態推定アルゴリズムの開発 11月〜1月 発電機の製作,情報機器への応用
1-2月.超低消費電力位置探査システムの制作 2月 まとめ
WEB http://www.ems.k.u-tokyo.ac.jp/project/thesis.html

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三村 秀和 准教授 テーマ一覧
テーマ 1.ナノ精度形状転写による回転体型X線集光ミラーの開発 2.回転体型X線集光ミラーのためのナノ精度加工システムの開発
狙い 波長2nm〜4nmの領域は、「水の窓」と呼ばれ、この波長域の軟X線は、水には透過性があり生体を構成する炭素分子は透過しないため、この軟X線を用いると生体細胞などを生きたままナノメートルレベルの分解能で観察することが原理的に可能です。その性能を決定するのは軟X線を取り扱う光学素子であり、未だ、理想的な性能を持つ軟X線光学素子は存在しません。
本研究の最終目標は、理想的な回転体型軟X線ミラーの作製とそれを用いた高分解能軟X線顕微イメージングシステムの構築です。X線光学素子は、工学部14号館834室で行い、顕微鏡システムの構築は、本学理学研究科、理化学研究所(SPring-8:兵庫県西播磨)で開発を行います。本研究室では、全員一丸となって、それぞれが責任をもって各パートを担当しこの目的の達成のために研究・開発を行っており、各研究項目とも従来にないOnly-oneの研究です。4年生の卒論テーマとしては、高精度回転体型X線ミラーの作製プロセスにおけるマンドレル作製および電鋳プロセスについて研究をします。研究室全員による共同研究が特徴で、下記分野だけでなく、精密計測、フーリエ光学、X線光学、など幅広い分野において、知識、経験を積むことが可能であり、研究進捗に応じては2つ以上のテーマを担当することもあります。
内容 本テーマでは、ミラー形状転写プロセスを担当します。電気化学反応を利用した電鋳法と呼ばれる方法により、転写を行います。学問分野としては
・電気化学
・物理化学
・表面科学
となります。本学問分野の関連項目を勉強しながら研究を進めます。テーマ2、修士学生の研究テーマと連携して進めます。
本テーマでは、マンドレル加工プロセスを担当します。超精密加工システムの設計、作製、開発、性能評価を行います。学問分野としては、
・プログラミング
・機械要素
・機械制御
となります。本学問分野の関連項目を勉強しながら研究を進めます。テーマ1と修士学生の研究テーマと連携して進めます。
場所(予定) 本郷キャンパス工学部14号館8F834室、(ミラー作製)、本郷キャンパス理学部、SPring-8(ミラー評価) 本郷キャンパス工学部14号館8F834室、(ミラー評価)、本郷キャンパス理学部、SPring-8(集光システム評価)
計画 4〜5月:ミラー作製用転写装置立ち上げ 4〜5月:加工装置開発
6月〜7月:転写実験評価 6〜7月:加工装置評価
8月〜12月:ミラー作製および評価 8月〜12月:実際のマンドレル加工と評価
1月〜2月:放射光学会発表、卒論まとめ   3月:精密工学会発表 1月〜2月:放射光学会発表、卒論まとめ   3月:精密工学会発表
WEB http://www.edm.t.u-tokyo.ac.jp/7MimuraGr/MimuraGr.html
X線ミラーに関するプレスリリース
http://www.t.u-tokyo.ac.jp/epage/release/2012/12121701.html (最新です)
http://www.spring8.or.jp/ja/news_publications/press_release/2009/091123
http://www.spring8.or.jp/ja/news_publications/press_release/2008/080807

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森田 剛 准教授 テーマ一覧
テーマ 1.非鉛圧電材料を用いたマイクロアクチュエータ 2.近接音場現象を利用した非接触ハンドリング機構
狙い 環境負荷の小さい非鉛圧電材料が広く研究されています。しかし、その基本特性はまだ不十分で、最終的なデバイスとしての特性が下がってしまうという問題点がありました。本研究では、医療用装置や情報携帯機器に応用が期待されるマイクロリニア圧電アクチュエータを非鉛圧電材料で実現するために、共振振動を効果的に応用した新しい駆動方法について研究を行います。 研究開発等において微小対象物体ハンドリングする場合、非接触で把持、搬送する必要が数多くあります。本研究では、強力超音波を利用した近接音場現象を用いることで、強力に吸引力を得つつも、非接触で対象物を保持する新しいハンドリング機構を提案し、その基礎的な検討を行います。
内容 伝達マトリックス法による共振周波数や振動モードの解析を行い、マイクロアクチュエータのステータ振動子の設計と、その試作を行います。有限要素法解析や等価回路解析も適宜利用することになります。最終的なアクチュエータの評価では鉛系圧電材料を用いた場合との比較をします。本研究を実施することにより、材料、振動、機械、シミュレーション等の様々な研究経験が得られます。指導には教員1名+大学院生1名があたります。 研究室内では教員を含めて先輩・後輩が自由に討論し合える環境です。 強力超音波励振用のランジュバン型振動子を設計、試作し、これを改良して非接触把持に関する基礎的な実験を行います。近接音場による強い反発力は空気の体積弾性率の非線形性に起因しますが、その説明はまだ十分に行われていません。本研究では、この解明を含めた現象の理解を目指します。 指導には教員1名+大学院生1名があたります。 研究室内では教員を含めて先輩・後輩が自由に討論し合える環境です。
場所(予定) 柏キャンパス環境棟2F265号室 柏キャンパス環境棟2F265号室
計画 4〜5月:圧電振動の基礎に関する勉強会 / 研究方針の打ち合わせ 4〜6月:強力超音波の基礎に関する勉強会 / 研究方針の打ち合わせ
6〜7月:実験装置・測定装置の使い方の修得 6〜8月:実験装置・測定装置の使い方の修得
9月〜12月: 実験・得られた結果の検討 9月〜12月: 実験・得られた結果の検討
1月〜2月:実験.評価.とりまとめ. 1月〜3月:実験.評価.とりまとめ.
WEB http://www.ems.k.u-tokyo.ac.jp

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山下 淳 准教授 テーマ一覧(下記5テーマの中から選択)
テーマ 1. カメラ・レーザセンサ搭載移動ロボットによる3次元環境センシング 2. コンピュータビジョンを用いたウェアラブル福祉ヒューマンインタフェース 3. 全天撮影ロボットを用いたオーロラ3次元計測 4. レース中のカーレーサーのストレス計測 5. ロボットのための超広視野・超高速・超高精度センシング
狙い  倒壊した建物や炭鉱など,直接人が足を踏み入れて状況を確認することが難しい危険な場所では,最初に移動ロボットを用いて状況確認を行うことが重要です.本研究では,カメラやレーザセンサを搭載した移動ロボットが移動しながら,ロボット周囲の3次元環境センシングを行う手法を構築することを目的とします.また,取得画像や3次元計測結果をヒューマンオペレータに提示することにより,直感的にロボットの遠隔操作ができるシステムの開発を行います.最終的には,開発したロボットシステムを用いて,実地フィールドで実機検証実験を行うことを目指します.  従来は機械式のボタンが付いていた携帯電話や携帯情報端末,駅の券売機や銀行のATMなどは,急速にタッチパネルに置き換わっています.しかし,タッチパネルは目から情報を得ることが前提となっている機器であるため,視覚障がい者の方はタッチパネルに提示されている情報を知ることができません.そこで本研究では,人間の目の機能をコンピュータで実現するコンピュータビジョン技術を用いて,視覚障がい者の方がタッチパネルを操作するための支援ヒューマンインタフェースを開発することを目的とします.もしくは,色覚障がい者に色情報を提示するためのヒューマンインタフェースを開発することを目的とします.  本研究では,複数地点に設置した全天撮影ロボットを用いて,オーロラの全天3次元形状・位置を高精度に計測する手法を確立することを目指します.オーロラに関する物理量は古い統計が多く,最新の計測技術を使った,3次元形状・位置(高度)の系統的な時間空間変化の測定と,それに基づく分析が望まれています.これまでのオーロラステレオ観測,カメラ間の位置姿勢関係の同定精度が十分でなかったため,超高精度な3次元計測結果を得ることが困難でした.加えて,全天の広視野映像撮影の場合には,画像の歪みの影響で正確な計測が更に困難となります.そこで本研究では,上記の課題を解決し,超広視野・超高精度の3次元オーロラステレオ観測を実現することを目的とします.  車のスピードを競うカーレースは,ドライバーにとっては常に危険な状態にある過酷なスポーツであるため,運転中のドライバーの健康状態や安全の管理が非常に重要です.スペースの問題で運転席や車に生体信号を計測するセンサを取り付けることが難しいことに加え,センサから得られた信号からドライバーの健康状態やストレスを推定すること自体も簡単ではありません.本研究では,運転中のドライバーに小型の生体信号計測センサを取り付け,ドライバーのモニタリングを行うシステムの開発を目指します.  カメラの周囲360度に視野を有する全方位カメラやカメラ前方に広画角の視野を有する魚眼ガメラなどの広視野カメラは,一度に広範囲の映像情報を獲得できることから,ロボットのナビゲーションなどに幅広く用いられています.本研究では,広視野カメラを用いて,超広視野・超高速・超高精度に周囲環境の3次元計測を行う手法を開発することを目的とします.通常の環境に加え,最終的には,水中や配管内など人間が作業を行うことが困難で映像にノイズがのりやすい極限環境において,ロボットに広視野カメラを搭載して計測を行うことを目指します.
内容  既存の移動ロボット,カメラ,レーザセンサを組み合わせて,周囲環境をセンシング可能なロボットシステムを構築します.ロボットが移動しながらセンシングを行うと,複数地点でのセンシングデータが得られます.そこで,得られたデータをつなぎ合わせて,広範囲の3次元地図を自動生成する手法を構築します.また,得られた画像データをより見やすくヒューマンオペレータに提示するための画像処理技術を開発します.これまでの研究成果を理解し,最新のロボット・画像処理・3次元センシング技術を応用し,更に内容を発展させることを目指します.
 指導には,教員と大学院生があたります.本研究は民間企業との共同研究に関する内容を含みます.ロボットの知能化に興味がある方,研究成果を学会等でアピールしたい方,研究成果を直接社会に還元したい方にお勧めのテーマです.
 カメラ,ヘッドホン,マイクと小型PCを組み合わせて,ウェアラブルヒューマンインタフェースシステムを構築します.マイクで取得した音声から人間の指示内容を認識する手法,タッチパネル上に描かれているボタンを認識する手法,ヘッドホンから人間に指示を出す手法,タッチパネルを操作する指先やタッチパネルのボタンの3次元位置をカメラで計測する手法を開発します.これらの技術を組み合わせて,タッチパネル上の目的のボタンに指を誘導するシステムの開発を目指します.
 指導には,教員と大学院生があたります.福祉のための技術開発に興味がある方,視覚情報処理やヒューマンインタフェースに興味がある方,研究成果を学会等でアピールしたい方,研究成果を直接社会に還元したい方にお勧めのテーマです.
 最新のロボット・画像処理・コンピュータビジョン技術を用いることで,以下の内容にチャレンジします.
  1. 極寒地であるアラスカでオーロラ映像の自動連続撮影が可能な高信頼全天撮影ロボットの開発
  2. 視野が広い半面で歪みが大きい全天撮影カメラの内部パラメータ(レンズの歪み特性や焦点距離など)および外部パラメータ(カメラの設置位置と設置姿勢)の高精度同定手法の構築
  3. 3次元立体視可能なオーロラのステレオ映像の自動生成手法の構築
  4. 3台以上のカメラを利用したオーロラ高精度3次元ステレオ計測手法の構築
 指導には,教員と大学院生があたります.本研究は理学部教員との共同研究です.工学的な成果に加えて理学的な成果も求めたい方,研究成果を学会等でアピールしたい方,実際にオーロラを観測をしたい方にお勧めのテーマです.
 脳や筋肉が活動すると電流が流れます.そこで,ドライバーの身体にセンサを取り付け,脳や筋肉の活動を電気信号として取り出します.コンピュータを用いて電気信号を解析することで筋肉の活動レベルを計測し,更にはドライバーの健康状態やストレスを推定するシステムを開発します.ノイズが含まれる信号から正確なデータを得る手法,複数のセンサの情報を統合して信頼性の高い情報を取得する手法などを構築します.
 指導には,教員と大学院生があたります.本研究は民間企業との共同研究に関する内容を含みます.レースに興味がある方,生体信号処理に興味がある方,研究成果を学会等でアピールしたい方,研究成果を直接社会に還元したい方にお勧めのテーマです.
 特殊なレンズやミラーを組み合わせたカメラを用いることで,広範囲の画像を撮影します.ただし広視野カメラは画像の歪みが大きいため,一般的には3次元計測には向いていません.そこで本研究では,カメラやレンズの特性を高精度に求め,画像の歪み具合を正確に見積もる手法を構築し,その結果を用いて補正を行うことで正確な計測を行うことを目的とします.また,映像中に写り込んだノイズを自動検出し,画像処理の技術を用いて除去する手法を構築します.
 指導には,教員と大学院生があたります.カメラやレンズに興味がある方,3次元計測に興味がある方,研究成果を学会等でアピールしたい方にお勧めのテーマです.
場所(予定) 本郷工学部14号館826号室(手法の構築,基礎実験),倒壊家屋実地フィールド(実地実験) 本郷工学部14号館826号室(手法の構築,基礎実験,データ解析),屋内ATM設置場所(実地実験) 本郷工学部14号館826号室(データ解析),科学技術館(オーロラ3D映像上映),米国アラスカ州(オーロラ撮影ロボット) 本郷工学部14号館826号室(手法の構築,基礎実験,データ解析),鈴鹿サーキット・富士スピードウェイ・ツインリンクもてぎ(レース中のデータ取得) 本郷工学部14号館826号室(手法の構築,基礎実験),実地フィールド(実地実験)
計画 4〜5月:問題設定,関連研究の調査・理解,センシング手法の理解 4〜5月:問題設定,関連研究の調査・理解,コンピュータビジョン手法の理解 4〜5月:問題設定,関連研究の調査・理解,カメラの結像モデル・3次元計測の理解 4〜5月:問題設定,関連研究の調査・理解,生体信号処理手法の理解 4〜5月:問題設定,関連研究の調査・理解,カメラの結像モデル・3次元計測の理解
6〜7月:手法の設計,ロボットシステムの実装と基礎実験 6〜7月:ヒューマンインタフェースの設計,コンピュータビジョンアルゴリズムの実装と基礎実験 6〜7月:撮影ロボットの開発,画像処理アルゴリズムの実装と基礎実験 6〜7月:生体センサの信号処理手法の開発,基礎実験 6〜7月:画像補正および画像処理アルゴリズムの実装と基礎実験
9月〜11月:プログラムの再実装,改良 9月〜11月:ヒューマンインタフェースの再実装,改良 9月〜11月:ステレオ計測手法の設計,画像処理プログラムの再実装,改良 9月〜11月:ストレス計測手法の構築,ストレス計測実験 9月〜11月:3次元計測手法の設計,画像処理プログラムの再実装,改良
12月〜2月:実験および評価,論文作成,学会発表 12月〜2月:実験および評価,論文作成,学会発表 12月〜2月:実験および評価,論文作成,学会発表 12月〜2月:実験および評価,論文作成,学会発表 12月〜2月:実験および評価,論文作成,学会発表
WEB http://www.robot.t.u-tokyo.ac.jp/yamalab/
備考 研究テーマに興味を持たれた方,より詳細を知りたい方は,お気軽に山下までメールでご連絡下さい.
研究室見学連絡先:yamashita@robot.t.u-tokyo.ac.jp(山下メールアドレス)

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山本 晃生 准教授 テーマ一覧
テーマ 1.触力覚デバイスの開発と応用 2.静電力応用によるロボティクス&メカトロニクス
狙い  触覚・力覚(触力覚)への情報提示技術は,より直感的でリアルな情報伝達につながるものとして高い期待を集めています.これまでに様々な触力覚情報提示技術が研究されてきていますが,依然として多くの課題が残されています.本研究プロジェクトでは,人の触力覚特性の測定,新たな触力覚提示手法の提案,触力覚提示の応用研究などを通じて,新しい触力覚提示技術の実現をめざします.  当研究室では,静電気力のメカトロニクス・ロボティクス応用に関する研究を行っています.静電気力は通常は微弱な力であるため,これまでメカトロニクス・ロボティクス分野への適用はあまり研究されてきませんでした.しかし近年の研究により,静電気力の特性を活かすことで従来機構では実現できない新しい機構が実現できる可能性が示唆されています.本プロジェクトでは,これまでに開発されたアクチュエータや機構
内容  ビジョンシステムや力測定装置などを用いて,人の触力覚特性を工学的見地から明らかとし,その測定結果に基づき新しい提示技術あるいは提示デバイスを開発します.研究実施に当たって必要とされる知識・技術は,
・(触力覚に関わる)生理学の基礎
・画像処理
・力測定
・統計データ処理
・機構の設計製作と制御
などです.必要に応じて,これらの事項を学習しながら,研究を進めます.
 基本的には,これまで本研究室で研究を進めてきたアクチュエータや機構要素をベースとして研究を進めますが,研究の過程で新たなアイデアが生み出された場合には,新たなアクチュエータ等をゼロから実現することも可能です.研究実施に当たって必要とされる知識・技術は,
・静電気力に関する基礎・応用理論
・アクチュエータ等の性能計測・理論解析
・機構,電気回路の設計製作
・機械制御
などです.必要に応じて,これらの事項を学習しながら,研究を進めます.
場所(予定) 本郷キャンパス工学部14号館6F630号室 本郷キャンパス工学部14号館6F630号室
計画 4〜6月:関連研究の調査ならびに測定機器等の利用技術習得  4〜6月:関連研究の調査ならびに測定機器等の利用技術習得
7〜9月:ヒトの触力覚特性の測定・評価(含:測定システムの構築)  7〜9月:基礎解析,簡易プロトタイプの試作と性能評価
10月〜12月:評価結果に基づくデバイスの設計・製作  10月〜12月:基礎評価結果に基づく機構の設計・製作
1月〜2月:実験.評価.とりまとめ. 1月〜2月:実験.評価.とりまとめ.
WEB http://am.t.u-tokyo.ac.jp/

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